リバースモーゲージの8つの問題点まとめ

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建築

設計事務所で建築士として働く”アラフィフりすこ”です。

仕事柄、不動産関係者やファイナンシャルプランナーさん、銀行の方と話す機会も多いです。

最近になって話題に出る事が増えたリバースモーゲージ。

聞きなれないので難しく感じがちですが、情報を丁寧に整理してみると、メリットもありますが、反面たくさんの問題点もみえてきます。

安易に金融機関の担当者の話を鵜呑みにしては大変危険です。

しっかり理解したうえで老後資金計画のひとつとして検討するべきです。

この記事では8つの問題点をまとめてみました。

①長生きリスク

②金利上昇リスク

③評価額下落リスク
 
④法定相続人(子ども)とのトラブルリスク
 
⑤対象エリア・担保条件・資金使途に制限がある
 
⑥子どもとの同居は出来ない
 
⑦配偶者へ契約が引き継げない場合もある
 
⑧借り入れ可能金額は自宅評価額の50%程度
 
 
では詳しくみていきましょう。

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リバースモーゲージ8つの問題点

長生きリスク

平均寿命はあくまで平均です。

自分や配偶者が何歳まで生きるのかを予測することは誰にもできません。

契約時の設定よりも長生きしてしまうと、融資極度額まで資金を使ってしまい、自宅を売却して一括返済を求められる事になります。

例えばリバースモーゲージの融資極度額が2000万円だった場合、90歳を寿命として毎月借入金を利用して自宅で楽しく生活できていたとします。

しかし、90歳よりも長生きしてしまうと返済を迫られて自宅を失なう事が考えられます。

リバースモーゲージは、人生の晩年をゆとりをもって暮らすためのローンです。

そして自分が亡くなった後、必要の無くなった自宅を処分して借金が返済される事を想定しているものです。

しかし、予想したよりも長生きした場合には計画は狂ってきます。

これは長生きが不幸せに繋がるとても残念で怖いリスクです。

金利上昇リスク

リバースモーゲージの金利は一般的に「変動金利」が採用されています。

そのため世の中お動きに応じて金利が変動しますので、金利が大幅に上昇してしまうと毎月の金利支払額が高騰してしまったり、場合によっては契約期間の途中でも貸付金額の上限に達してしまうことが考えられます。

この場合もやはり返済を迫られて自宅を失なうリスクがあります。 

 

評価額下落リスク

今よりも資産の評価額が下がってしまう「評価額下落リスク」もあります。

リバースモーゲージの担保評価で最も重要視されるのが「土地」です。

この土地評価額が下落してしまうと融資極度額の見直しが発生しますので、金融機関は1~2年ごとに再評価します。

この融資極度額の見直しによって既に融資極度額以上の資金を使用してしまった場合、差額を返済する必要が発生するリスクがあります。

また、リバースモーゲージは、最終的には借入金を全額返済するために、担保とした自宅を処分する必要があります。

時間の経過とともに当初見込んでいた処分額よりも、担保物件の不動産価格が落ちてしまい、借入金の完済に十分でなくなってしまう事が考えられます。

この場合の残債については法定相続人(子どもたち)が負う事になります。

つまり子どもに借金を残す事になりますから注意が必要です。

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法定相続人(子ども)とのトラブルリスク

上記のような3つのリスクがあるリバースモーゲージですので、法定相続人(子ども)への事前承諾が必要になります。

加えて、自宅を相続することが出来なくなりますので相続問題が発生しないように事前に良く話し合っておかないと、思わぬトラブルが起きます。

「親の介護などで自分が面倒をみる代わりに自宅が相続できる」と子どもが考えている場合もあるでしょう。

相続の際に遺産分割協議が長引いた場合には金利が加算されてしまったり、自宅の処分自体を相続人が認めないなどの問題が出てきた場合は非常にやっかいです。

まだまだ日本は「家は子どもが継いでいくもの」という考えが一般的なので、法定相続人(子ども)の理解が絶対条件です。

対象地域・担保条件および資金使途に制限がある

そもそも営業区域内でしか、リバースモーゲージの融資を行なっていない金融機関が多いです。

つまり利用できるのは都市部に限られていますし、対象のエリアでも立地によっては資産評価が低くて、担保条件をクリアできない場合もあります。

長年住み続けた家屋は資産価値がほとんどないので、金融機関は「土地」を担保と考えるため「戸建」のみを担保物件の対象にしている場合が多いです。

(近年マンションも対象にする場合も増えましたが売却時に資産価値のある場合に限られます。詳しくはそれぞれの金融機関でご確認ください)

資金使途(借入金の使い道)については、老人施設への入居金など資金使途が決まっている「限定型」と、何に使っても良い「自由型」があります。

これは大都市圏ならリバースモーゲージを扱っている銀行がたくさん見つかるので、資金使途に応じた選択ができますが、そうでも無い場合は問題点のひとつかもしれません。

子どもの同居は対象外

さらに見落としがちですが、自宅に子どもが同居の場合は対象外になります。

契約時は夫婦二人暮らしでも、介護のためやUターン就職などで子どもが将来同居することは契約違反になります。

そういった可能性があるならリバースモーゲージの利用は慎重になった方が良いでしょう。

配偶者へ契約が引き継げない場合もある

配偶者(主に妻)へ契約が引き継げないという事は、契約者(主に夫)が死亡後に妻が自宅を失ってしまうということです。

これについては、誰もが避けたいことですから、リバースモーゲージの契約時にきちんと確認が必要です。

契約者が亡くなった後の金融機関の対応は大きく3つに分類ができます。

・すぐに自宅を売却する必要がある

・売却までに1年から3年程度の猶予が与えられる

・配偶者に契約を引き継ぎさせることができる

夫が亡くなったら妻は子どもと同居する、

あるいは契約時点で配偶者が亡くなっている、

という場合以外は残された配偶者に契約が引き継げるかどうか確認しましょう。

借り入れ可能金額は自宅評価額の40%~70%

借り入れ限度額は自宅の不動産評価額の40%~70%です。

たとえば評価額が2000万円の自宅だとして、限度額が50%の場合は1000万円しか借りることができません。

これを少ないとみるか、相応とみるかは立場によって違うと思いますが全ての金融機関がこういう割合です。

一部のネット情報などで誤解されている方もいらっしゃるかもしれませんが「1000万円貸付で2000万円の自宅を金融機関が奪う」ではありません。

「任意売却」(法定相続人が自分で売却すること)を選択すれば自宅が2000万円で売れれば、リバースモーゲージの返済をした残りの余剰金は相続人(子ども)の手元に残ります。

しかし、逆に自宅売却の結果、返済額に足りなかった場合は不足分について金融機関があきらめるわけではありません。

 

具体的にモデルケースで考えてみましょう

A子さん現在65歳。95歳まで存命。

自宅の評価額は現在は3000万円だと仮定します。

例えば
・年3%の固定金利
・毎月5万円ずつ借入れ
・30年
で計算して30年後の契約満期時には元利合計2921万円になります。

現在の評価額通りに自宅売却が進めばほぼ計画通りです。

しかし、人口減少が進む日本では地価はこれから下がることはあっても上がることは無いと思われます。

現在は3000万円の評価額であっても、30年後にどれほどの価値があるかは不透明です。

また、上記条件で借りて30年後に清算する時に自宅が実際には2000万円でしか売れなかった場合には金融機関は不足する分は遺産からの返済を求めてきます。

それでも足りない場合は法定相続人(子ども)が返済しなければなりません。

この点が、自宅以外の資産(株や他の土地を所有してるなど)のある場合以外は、安易に考えるべきでは無い大きな問題点です

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まとめ

リバースモーゲージ【8つの問題点】

 ①長生きリスク

契約時の設定よりも長生きしてしまうと、融資極度額まで資金を使ってしまい自宅を売却して一括返済を求められる。

②金利上昇リスク

「変動金利」のため毎月の金利支払額が高騰してしまったり、場合によっては契約期間の途中でも貸付金額の上限に達してしまい自宅を売却して一括返済を求められる。

③評価額下落リスク

地価下落などで資産の評価額が下がってしまい自宅の売却金が借入金の完済に十分でなくなってしまった場合は法定相続人(子どもたち)が負う事になります。

④法定相続人(子ども)とのトラブルリスク

自宅を売却して返済にあてますからっ子どもが自宅を相続することが出来なくなります。事前に良く話し合っておかないと、トラブルの原因になります。

⑤対象エリア・担保条件および資金使途に制限がある

「都市部しか対象エリアでない、担保条件が戸建てだけ、資金使途い制限がある」場合もあります。

⑥子どもの同居は対象外

自宅に子どもが同居の場合は対象外になります。将来子どもが同居する事が出来なくなります。

⑦配偶者へ契約が引き継げない場合もある

配偶者(主に妻)へ契約が引き継げるかどうか契約時に確認しましょう。

⑧借り入れ可能金額は自宅評価額の40%~70%

借り入れ限度額は自宅の不動産評価額の40%~70%です。すぐに大きな借り入れ金が必要な場合は自宅売却を検討した方が良いかもしれません。

将来の自宅売却時の売値が返済額に足りない場合は、遺産で払い、それでも足りない場合は相続人が支払う義務があります。

以上リバースモーゲージの8つの問題点をご紹介しました。

まだまだ知名度の低い制度ですし、ご紹介したような利用するには家族の理解が得られにくいような条件も含んでいます。

これからの高齢化社会の

年金制度に対しての不信、

長寿化による老後資金が足りないんじゃないかという不安、

に対しての、ひとつの選択肢にはなると思いますが、安易に借り入れするのは非常に危険です。

ちょっと複雑そうにみえますが、条件や問題点、リスクをきちんとひとつひとつ把握すれば、それほど難しくはありません。

これからの人生を安心で豊かなものにするために、慎重に情報を集めて良く検討していただきたいと思います。

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リバースモーゲージの概要や条件を知りたい方へ

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