家を建てよう(購入)!!!と思った時にまず必要なのは資金です。
その際には、「住宅ローンを誰の名義で組むか?」を考えなければいけません。
ちょっと昔は、夫だけの名義でローンを組むことが中心でしたが、最近では夫婦共働きも増え、所得税の住宅ローン控除などメリットも知られてきて、現在は20%以上の人が夫婦共有名義でローンを組みます。
でもどちらが良いのか?どちらが得なのか?始めてのことばかりで戸惑いますよね。
住宅ローンを組む時はどんなパターンがあって、それぞれどんな条件があるの?
メリット、デメリットは?
詳しいことは各金融機関で具体的に聞いていただくとして、日々家を建てたいお客さまの相談にのっている建築士の筆者がそれぞれの違いを、まずはなるべく専門用語を使わず初心者でもわかりやすく説明します!
お金のことは家を考えるならとても大事なこと!
早速確認していきましょう。
スポンサーリンク
目次
住宅ローンの名義のパターンは4種類
住宅ローンの名義、つまり債務者は全部で4パターンあります。
①夫だけの名義の場合
②夫だけの名義の場合(妻が連帯保証人になる)
③夫と妻の共有名義の場合(妻が連帯債務者になる)
④夫と妻でローンを組む「ペアローン」
ちなみに債務者というのは借りたお金を返す責任のある人。という意味です。
これからローンを組むにあたってよく出てくる重要な言葉ですので覚えてみて下さいね。
※尚、夫と表記している部分は、夫婦によっては妻と、妻と表記している部分を夫と置き換えてもらえれば大丈夫です(表現が面倒くさくなるのであしからず)
①夫だけの名義の場合
一番シンプル。
・夫の収入が充分にあって、借りたい金額の月々の返済金額を楽々クリア出来る=銀行のローン審査に通る場合
・独身時代の貯金(頭金)や親からの支援(生前贈与せいぜんぞうよ)がたくさんある場合
・妻が専業主婦で収入がない。あるいは現在は共働きであるが、出産育児などで退職の可能性が大きいので妻の収入をあてにしたくない場合
っていう場合に夫だけの名義でローンを組むことが多いです。
●ローンを返す責任…夫のみ。
●住宅ローン控除を受けられる…夫のみ
保証人は取らず、保証協会を利用するのが一般的(別途で保証金が必要)
夫が失業などで収入がなくなって、もしローン返済が出来なくなっても法的な返済の責任があるのは夫のみです。
とはいっても、返済が滞れば家は差し押さえられて出ていかなければいけなくなるので、もちろん夫の収入が減れば妻や家族が協力して返済を続けるのは言うまでもありませんが。
夫に万一のこと(亡くなるとか高度障害者になるとか)があれば、ローンを組んだ時に加入する団体信用保険という保険(生命保険の一種)で残ったローンは完済(かんさい)になります。
完済とは全て払い終わったことで、ローンの支払いはなくなり、家は資産としてそのまま家族に残されます。
デメリットは、所得税や住民税の住宅ローン控除が夫のみでしか受けられないことです。
ですので、妻が高収入で安定した(定年まで働き続けられる)職業で育児休業などを使って、ローン完済まで共働きを続ける予定ならもったいない部分もあります。
ここで「住宅ローン控除」って何?って気になりますよね。
住宅ローン控除(減税)とは
住宅ローンの残高に応じて所得税や住民税などの税額控除を受けることができる制度です。高い収入の人ほど恩恵をうける節税メリットです。
この言葉も住宅ローンを考える時に良く使う言葉なので覚えましょう。
②夫だけの名義の場合(妻が連帯保証人になる)
①と夫だけの名義という部分は同じですが、妻が連帯保証人になることで、収入合算(しゅうにゅうがっさん)をして借入限度額を上げる事が出来ます。
例えば夫の年収が400万円で借り入れしたい金額が3000万円の場合、夫単独の①のパターンでは銀行のローン審査に通らないとします。
これを年収300万円の正社員の妻が連帯保証人になることで、夫婦二人の収入合算が出来るので年収700万円とみなされ、3000万円の借り入れが可能になります。
●家の所有権(名義)…夫のみ。
●ローンを返す責任がある…夫のみ
ただし夫の返済が滞ったときには、連帯保証人の妻に返済義務が出てきます。銀行はまずは夫。無理だった時は妻に返済を求めてきます。
●住宅ローン控除を受けられる…夫のみ
メリットは上記にあげたように夫単独の収入だけでは組めない金額のローンを、収入合算をすることで可能にできることです。
ただ、妻の年収を100%収入合算できるかどうかは、正社員かどうか、勤続年数や勤務先の規模などを判断基準にそれぞれの銀行が独自のルールで決めています。場合によっては50%しか合算できなかったり、全く認めてもらえなかったりもしますので、要注意です。
デメリットは①と同じで、所得税や住民税のローン控除が夫のみでしか受けられないことです。
そしてこれはデメリットとは言えないかもしれませんが、収入合算できることで自分たちの生活レベル以上の背伸びをした多めのローン借り入れになりがちです。
ローン借り入れ金額が大きいということは、毎月の返済金額も多くなるということです。
妻が定年まで必ず働き続けられれば問題ありませんが、女性は出産や育児などで男性よりも負担が大きくなりがちです。
リストラなどの社会の変化も多く受けます。
もし妻の年収が下がった時に、たちまちローン返済がとどこおる様では大変な事です!
この点をよくよく理解して収入合算を検討しましょう。
夫に万一の事があった場合は、①と同じで団体信用保険によって残ったローンは完済(かんさい)になりますので、ローンの支払いはなくなり、家は資産としてそのまま家族に残されます。
③夫と妻の共有名義の場合(妻が連帯債務者になる)
夫と妻の共有名義にして妻が連帯債務者になることで、収入合算(しゅうにゅうがっさん)をして借入限度額を上げる事が出来ます。
②のパターンと同じで夫の年収400万円ではローン審査が通らない場合でも妻の年収を合わせて収入合算することで可能にできます。
●家の所有権(名義)…夫と妻。(出資割合におうじて持分登記にします)
●ローンを返す責任…夫と妻、両方にあります。銀行はどちらにも返済を求めてきます。
●住宅ローン控除を受けられるのは夫と妻の両方
ここで疑問に思ったと思います。②の連帯保証人と③の連帯債務者
よく似ていてわかりにくいですよね。
わかりやすく説明すると。。。
【連帯保証と連帯債務の違い】
●連帯保証とは
「連帯保証」の場合は、債務者である夫がローンの返済が出来なくなった場合にのみ、連帯保証人の妻が返済を求められます。「連帯保証」は、債務者はあくまでも夫であって、妻はそれを保証しているだけです。3000万円の債務者は夫。返せなくなったら妻に責任がいきます。夫が背負っているローンですが、夫がなんらかの理由で背負えなくなったら妻が代わって背負うと考えて下さい。
●連帯債務とは
「連帯債務」の場合は、債務者は夫ですが、妻が連帯して返済する義務があり、銀行はいつでもどちらにでも返済を求めることが出来ます。「連帯債務」は、借入者と連帯して同一の債務を負っていることを意味し、連帯債務者は法的に債務者と同じ責任があります。夫は3000万円の債務者。妻も3000万円の債務者。ひとつのローンを二人で背負っていると考えて下さい。
このパターンのメリットは②と同じで、夫単独の収入だけでは組めない金額のローンを、収入合算をすることで可能にできることです。
そして、住宅ローン控除を夫と妻の両方で受けられます。
妻の収入が高く所得税や住民税を多く払っている場合は検討の価値があります。
注意点は夫に万一の事があった場合でも、団体信用保険は基本は夫の方にしかかけられないので、妻の方にも別途で団体信用保険をかけないと、夫が亡くなった後も妻のローンはまるまる残ってしまいます。
連帯債務の形で申し込みができる代表的なローンの組み方は【フラット35】です。
逆にそれ以外の一般的なローン商品にはこの形で申し込める場合はほとんどないです。
④夫と妻でローンを組む「ペアローン」
これは夫婦がそれぞれ別に住宅ローンに契約し、加入する方法です。
つまり2本の住宅ローンを契約します。
例えば夫は2000万円のローンを組み、妻は1000万円のローンを組み、合計で予算3000万円のマイホームを手に入れます。
夫婦はそれぞれのローンの債務者としての責任をもちます。
●家の所有権(名義)…夫と妻。(出資割合におうじて持分登記にします)
●ローンを返す責任は夫と妻のそれぞれの金額分だけあります。さらにそれぞれの連帯保証人になっているので、返済が滞ると夫との分は妻に、妻の分は夫に、銀行は返済を求めてきます。
●住宅ローン控除を受けられるのは夫と妻の両方
ほとんどの銀行ではこのペアローンを扱っています。
ペアローンの場合、妻は夫の債務の連帯保証人となり、夫は妻の債務の連帯保証人になる必要があります。
メリットは。。。
①②のパターンと同じで1人だけの収入では足りない場合に住宅ローン借入額を増やすことができること。
住宅ローン控除を夫と妻の両方で受けられること。
またひとつのローンを夫婦二人で背負おうのではなく、二つの別々のローンを夫婦それぞれが組むので、夫の方は金利変動型で25年返済。妻は固定金利型で15年返済。など設定を変えられます。
デメリットは。。。
二つのローンを組みますので最初の事務手数料が2倍かかります。
また、もし夫に万一のことがあった場合、夫の住宅ローン分は団体信用保険で完済されますが、妻の分の住宅ローンは残ります。
スポンサーリンク
どの住宅ローンの組み方が自分たちに合っているか?
以上、夫婦で申し込む4パターンの住宅ローンの組み方を紹介しましたが、どのパターンが自分たちに合っているのかを決めるポイントをご紹介します。
②と③の分かれ目は。。。
そもそもフラット35で申し込む場合は選択は③のみ。
夫が家は自分のみの名義にしたいと思っている場合は選択は②のみ。
逆に妻が、自分の助けもあってのローン返済だから、家の所有権を自分も持ちたいし、住宅ローン控除も受けたいと考えるなら選択は③。
代表的なご夫婦で考えてみると以上です。
どのパターンだと、どれくらい金利や返済金額、ローン控除が違ってくるのかは、それぞれの収入や借入金額、返済期間などで違ってきます。
銀行やファイナンシャルプランナーなど専門家に具体的な条件を伝えて納得がいくまで、自分たちにあった借入方法を試算してみて下さい。
スポンサーリンク
夫婦で住宅ローンを組む時の注意ポイント
持分登記は現実と一致させる
上記で紹介した③夫婦共有名義、④ぺアローンの場合は持分登記(もちぶんとうき)といって、5:5、7:3など夫と妻の出資金額の割合におうじた「持分」を登記します。
その際に注意するのは、それぞれが出した頭金や住宅ローンの負担額に見合った割合で、正しく登記するようにすることです。
夫が7割、妻が3割でローンや頭金を負担しているのに、「夫婦なんだから登記は半分ずつにしよう!」と勝手な判断をすると、実際の出資割合との差額を夫から妻への贈与があったとみなされて、後から贈与税の支払いが発生します。
仮に1000万円の贈与を受けたという場合は275万円もの贈与税がかかる計算となります。
将来の収入まで慎重に考える
よくあるのは正社員だった妻が、出産、育児のため休職や退職をしなければいけなくなることです。
本人はずっと働くつもりでいても、いまだに世の中は”マタハラ”という言葉が一般的になるほど子育て中の女性に厳しいのが現実です。
働き続けるとしても、就業時間が短かったり、休みがとりやすい職場に変わるかもしれません。
その際には収入が減ることも多いでしょう。
勤務先が産休や育児休業などがしっかりしている場合なら良いのですが、一時的にも夫の収入のみになっても返済できるのか?妻の職場はどんな環境なのか?将来を見越して慎重に考えることが大事です。
共有名義は売却時にはやっかい
③の夫婦共有名義の場合、④のぺアローンの場合、万一離婚などで家を売却することになると非常にやっかいです。
あまり考えたくはないと思いますが、もしもの時にはトラブルの原因になりがちだということも理解しておきましょう。
スポンサーリンク
まとめ
【住宅ローンの名義の4パターン】
①夫だけの名義の場合
②夫だけの名義の場合(妻が連帯保証人になる)
③夫と妻の共有名義の場合(妻が連帯債務者になる)
④夫と妻でローンを組む「ペアローン」
【夫婦で住宅ローンを組む時の注意ポイント】
●持分登記は現実と一致させる
●将来の収入まで慎重に考える
●共有名義は売却時にはやっかい
最近は夫婦共働きが増えているので、従来の「住宅ローンといえば夫のみの借り入れが主流」から徐々に変化しています。
それぞれの借り入れパターンの条件やメリットとデメリットをよく理解した上で、金融機関に相談してみて下さい。
住宅ローンの事前審査がすぐできるのでおすすめ
↓↓↓↓↓
<<住宅ローン返済中に夫がもし死亡したら!?安心してください!建築士がわかりやすく説明します